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自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本
1 会社の仕組みと自身の関わり
2 顧客にとっての価値を考える
3 仕事の深い意味に気づかせる
4 自ら問いを立てる習慣をつくる
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自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本4~自ら問いを立てる習慣をつくる

 自立人材育成という企業共通の悩み

最近、若手社員を中心に、自立人材をどのように育成していくのかが多くの企業の共通の悩みとなってきています。今までと経営環境がガラリと変わり、過去の教育の成功体験がそのまま人材育成に使えなくなってきました。これほどまでに世の中の変化が激しく、不確実で、複雑な経営環境の中では、もはや正解というものがなくなってきたからです。

そこで、人材育成にかかわる私たちはゼロベースから教育内容を見直していく必要があります。最低限インプットしておかなければならない、教育コンテンツの必要要素とはどのようなものでしょうか?

これまで、自立人材育成のために必要なものとして
教育しておくべき基本中の基本1~会社の仕組みと自身の関わり
自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本2~顧客にとっての価値を考える
自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本3~仕事の深い意味に気づかせる
について取り上げてきました。

今回は、社員が自立人材となるために必要な、最も基本的なスキルについて触れてみます。

自立人材となるためには、大前提として取り組む仕事を自分の問題として捉える必要があります。そのためには、いったん、ものごとを自分の頭で考え、解釈し、まさに自分の取り組むべき問題として受け止めるという頭の中の思考プロセスを起動する必要があります。もし、そうでなければ、あらゆる仕事は、やらされ仕事になってしまい、単なる作業に陥る場合もあります。

ところがものごとを自分の頭で考えるということは、現実には、なかなか難しいのです。なぜなら、既存のルーティン業務や、目先の課題に追われてアップアップな状態にありますと、思考が止まった状態になっているからです。逆に、一定程度仕事に習熟し、楽勝状態になっていても思考停止が起こります。

さらに、私たちを取り巻いている、ネットやスマホやAIといったITツールも、知らないうちに、思考停止に誘導する力を持っています。考えるまでもなく、次々と選択肢を紹介してくれ、考えるプロセスを飛ばして、選べばよいだけの状態に導いてくれる。これらが考える機会を奪っているというわけです。

 ITツールが加速化させる人間の思考停止と、思考停止が生み出すもの

便利極まりのない環境にいると、ますます人間はものを考える機会が減り、自分でものを考えることが少なくなります。すると、やがて自分で問題意識を持つことが苦手になり、無意識に難しい事象から逃れようとします。そして、ひたすら快適な方に流される傾向が生れます。ちょうど寒い冬の日に、コタツに入っていると立ち上がるのが億劫になるのと同じような状況といえるでしょう。

さらにこれからAIが発達してくると、人間の思考を微に入り細に入り、AIがサポートしてくれるようになり、知らず知らずのうちに、ますますものを考えなくなってしまいます。

自分でものを考えないということは、誰かが作り出した流れや、他者の考えに乗るということになります。よっていつも受身でいることになり、受身でいつづけると当事者意識が失われて行きます。心の中で、当事者と思わなくなっていきますと、何か上手くいかなかったり、トラブルが起こると、何事も他責状態になってしまいます。

他責になると、目が常に外に向き、評論家や批判家になって、ますます自分で問題にコミットしなくなります。

このような思考停止が引き起こす状況が、まったく悪気なく、主体者意識の少ないビジネスパーソンを助長しています。だからこそ今、自立人材が求められているのだともいえます。

 思考停止を解除するには、「問いを立てる」ことが重要

そこで、今まさに社員が獲得すべき、最も重要なスキルの一つが「問いを立てる」力です。「問いを立てる」力とは、すでに顕在化している問題や課題へ対処するように、後手々々に対応するのではなく、顕在化する前に自分自身で問題自体を発見し、定義する力とも言えるでしょう。問題が正確に定義できるということは、解決に向かって動き出せる可能性に繋がっていくため、自立人材に向けた初めの一歩になり得ます。

まさに、VUCAという言葉に象徴される、昨今の経済・社会の環境において、ビジネスパーソンは前例踏襲ではなく、答えのない状況から、自ら問いを立て、問題形成をしていかねばなりません。このような中から良い問いを立てることが、良い問題発見をし、良い問題解決、良い仕事につながっていくのです。

ところが、肝心の問題発見の具体的な手法について言えば、世の中に知見が不足しているように思われます。すでに発見された問題の解決方法については書籍も多く、手法も充実していますが、問いを立てるための「そもそもの問題は何か?」を考える力をつける方法ついては、まだまだ不十分と言えるでしょう。

 「問いを立てる」スキルを育成する効果

そこで、まず仕事をする人間にとってもっともベーシックな「問いを立てる」スキルの育成とはどのように行うのがよいかを考えてみましょう。

最初は、思考停止の解除から始めることになります。

「問い」を投げかけることで、思考停止の呪縛を解く

思考停止を解除するもっとも、簡単な方法は「問い」を投げかけることです。問いを投げかけて、「君はどう思うか」と聞くことです。「問い」は、仕事に対するもの、社会問題に関するもの、あるいは賛否両論でマスコミをにぎわせているテーマでもかまいません。日常会話の中で、色々投げかけたほうが良いでしょう。「問い」を投げかけることは、脳にとって大いに刺激になります。

「問い」を投げかける本当の意味

さて、そもそも相手に「問い」を投げかけるには、帰ってきた「答え」に対する、評価を与えるために「問う」側が、むしろよく勉強しておかねばなりません。したがって、まず指導する側が勉強するようになります。そして、自ら問いをたて、答えを導き出す訓練をするようになります。

よって「問いを立てる」ことの達人は、自立人材指導の達人にもなります。「問いを立て」てみて、見えてくることは、問いに対して、解決はどうするのだろうかということです。したがって、いくつか自ら問いを立てたものの中に、自分が取り組みたいことがじわじわと湧き出してくることになります。

その問いの解決に自ら取り組むことで、大いにやりがいをもって仕事に取り組むことができるようになります。自分で問いを立てて解決する、というこの自身の自立人材としてのプロセス、自身の成功体験が、後進の指導に極めて有効になるのです。

指導する側が、「問いかける」意味と、問題発見、問題解決へとステップを進める道筋を良く理解すると、指導により具体性、説得性を持たせることができるでしょう。

 第1の習慣:自ら「問いを立て」質問する習慣

先述のように、自立人材の基本スキルの育成はまず、「問い」から始まります。特に、定例的に1on1の面談を行っている場合は、面談時に、「問い」を立てることができるよう対話を成立させ、訓練を施すことが非常に有意義です。

「問い」の中身

「問い」の内容は、今までの
教育しておくべき基本中の基本1~会社の仕組みと自身の関わり、
自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本2~顧客にとっての価値を考える
自立人材育成のために、教育しておくべき基本中の基本3~仕事の深い意味に気づかせる

の文脈でいいますと次のようなものになります。

「なぜ、会社の仕組みはなぜこうなっていると思うか」。「お客様はプロダクトの何に価値を感じていると思うか」。「なぜ、君は会社にいるのか」・・・

このように最初に、いくつもの「なぜ」を問うて、考える習慣を身に着けさせることが、まずは重要になります。

 第2の習慣:「問いを立て」させる習慣

そして、次に相手から「なぜ?」と思ったことを繰り返し問わせるようにします。自分自身の「なぜ」へのフィードバックから得られた解答という結果は、自身の思考回路の中に蓄積されやすいことは言うまでもありません。

こうして思考の機会が増えれば増えるほど、回路の集積度が強まり、次第に良い問いが立てられるようになります。このとき「問いを立てた」ことを褒める必要があります。

かくして、自分から「問いを立てる」ことができるようになると、いよいよ思考が動き出し、自立人材への道が開けていきます。

 第3の習慣:「問い」を立てて、問題解決するまでの成功体験を持たせる

次のステップは、管理者や、指導する側が獲得した成功体験をもとに、若手社員が、自分が立てた「問い」によって、課題を発見し、課題解決をするという一つの成功体験が持てるまで導いていくことです。

そして、その成功体験の繰り返しによって、脳の報酬系というやる気を喚起するシステムにも良いフィードバックを与えつつ、自己効力感が高めていくことが肝要です。やがて、その背後にある本質的な問題発見ができるようになり、ついには放っておいても自分で問いを立てる、問題に自分で取り組んでいく人材が育成されいくのです。

 自分が見出した問題は自分が解決する動機が湧きやすい

そもそも他者から与えられた問題(上司の指示等)は、あくまで他者の問題であってなかなか自分の問題とは思えません。そこで、何事も手伝うというスタンスになり、協力するという態度に陥ってしまいます。

こんな時は、残念ながら、仕事の指示を待っている状態になります。これが、人材が受け身になる最大の要因です。手伝うというスタンスでは、なかなか心底やる気が起こりません。つまり、自分から「やるぞ」、という状態、内発的動機付けがなされている状態は、自分の問題として問題意識を持っているということとも言えます。

そこで、自立人材の育成のためには、非常に地道ではありますが、対話を繰り返しながら、「問いを立てる」ことができる力をまず養成する、そして課題発見をし、自分で解決する。この繰り返しにより、やがてより大きな問題発見ができるようになり、問題解決にチャレンジするといったステップアップしていく方法により自立人材育成が可能になるのです。

 「問いを立てる」力が革新を生み出す

育成された自立人材の行きつく先は、イノベーションです。ほとんどすべてのベンチャー起業家がなぜ、自立人材なのかといえば、自分で「問い」を立てて、問題発見し、自ら問題解決に邁進しているからです。

起業家は、人が思いつかない領域で問題を発見し、解決方法をビジネスモデルに落とし、確信をもって事業に取り組むからです。誰も取り組んでいない、大きな問題を発見できれば、世界的なユニコーンになれる可能性もあり、ローカルな問題を発見できれば、地域の起業家として事業に邁進することができます。

このように考えると、「問いを立てる」力をつければ、社内起業家や、新規事業の開発者になりわが社のイノベーションを牽引していける可能性があります。歴史がある企業であればあるほど、革新ができにくいことが課題となりますが、その課題解決には、若手社員の「問いを立てる」力の養成こそが重要な意味を持っています。

 
NPO法人 JITAは、多様な主体が参画するプラットフォーム型のNPOとして、
個と組織が協働、共創、革新を遂げる自立人材育成のイノベーションに取り組んでいます。
 
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