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あらゆる企業に共通の組織の課題~協働力、共創力、革新力をどう育成するか?

 あらゆる企業で組織が抱える課題はほぼ同じ

人材マネジメントを効果的に実行していきたい企業にとって、自社組織のことだけを突き詰めて考えても、何が良いのか悪いのか判断の拠り所がないため答えは見つけづらいものです。このようなときにはいったん目を引いて整理してみるのも良いかもしれません。

もう少し広く、企業の働きというものを見てみると、すべての営利企業は経済活動を行っていると言えます。つまり、それは売り上げを上げ、コストを下げ、利益を出すという活動になります。活動の対象である、市場や顧客を間違っておらず、求められる商品やサービスを適正な価格で提供できれば、経済活動の存続性は確かなものになっていくでしょう。しかしながら、市場や顧客は変化しますし、魅力的な市場であれば競合が参入し、競争に巻き込まれて行くことになります。

さらにまた、インターネット等のITテクノロジーの普及によって情報格差がなくなり、クラウドソリューションの導入等によって技術へのアクセスの格差も少なくなっている今日、他社との差別化は一層難しくなっています。

このように考えた時、近年、人的資本に光があたるのも必然の流れと言えるでしょう。現代の経営では人と組織の在り方を変え、組織力を発揮することで、競争に勝っていくことがますます必要となってきています。

これらを踏まえていくと、ビジネスモデルや顧客に違いはあっても同じ経済活動を行う主体として考えてみると、組織的に抱えている課題はほぼ同じだと言うことができます。

 あらゆる組織に求められる普遍的な3つの力、協働力、共創力、革新力

自社の組織力を向上させるためには、まず始めに同一の目的、目標意識や、価値観を持って、一丸となって事業を進めていくことが必要になってきます。つまり、組織内部での「協働力」が求められていると言えましょう。

次に、組織外部の顧客や仕入れ先、外注先、金融機関や株主、さらには地域社会といった様々な関係者(ステークホルダー)との目的、目標、価値の共有も重要です。そして価値を共有するだけでなく、お互いに益になるように協力して商品やサービスなどの企業活動の中身を磨いていく「共創力」が、他社との差別化を実現していく鍵になります。

さらに共創によって生み出した成功体験を、あらためて内部組織に還流させ共有の財産として蓄積していくことで、それらが化学反応を起こし、別次元の新しい価値、つまり新商品や新規事業を生み出していくことが可能となります。これが組織の「革新力」といえるでしょう。この3つの力を具体的に説明していくと次のようになります。

 1.協働力~企業の中で従業員が一丸となる力

まず、自社組織そのものの強さを表すのが、組織の一体感を決める「協働力」です。「協働力」の発揮できる組織とは、個と組織の連携がうまくいっている組織と言えるでしょう。

このために最低限必要なものは、例えば

  1. この会社において事業に取り組む大義を明確な言語で表す、理念のセット(例えば、社是、経営理念、経営指針、行動規範。あるいは、パーパスや、ビジョン、ミッション、バリューといったもの)を浸透させること。
  2. 数値化された納得性のある目標と達成ストーリーやプロセスの共有。
  3. 公平公正な評価制度と各人への適切な分配、およびそのフィードバックによるモチベーションに裏付けられた、各人の役割認識。

といったものになるでしょう。

すなわち、まずは全従業員が、会社が社会的に十分意義がある取り組みを行っていると認識しており、目指す目標が具体的であり、手順が明確であり、達成した結果が適正に分配されるということがわかり、自身の役割が明確になる状態を作るということです。

つまり、このような条件を整える取り組みによって、個々の従業員が秘めているポテンシャルを解放し、経済活動における運命共同体ともいえる会社の活動に没頭することが、いろいろな面から意味や価値があると考えられる環境があれば、協働力を発揮できる準備ができたということになります。

そのうえで、各人が他者の意見を尊重したり、自身のアイデアを出したり、他者に協力したり、プロセスごとの達成を喜び合うという働きかけに、主体的に取り組むことで協働力は発揮されます。

 2.共創力~外部のステークホルダーと共に今あるものを磨いていく力

次に、当然ながら企業活動は内部の組織力をもって、外に向かって働きかけるものであり、顧客や仕入れ先や外注先、金融機関や株主、さらには地域社会といった様々な関係者(ステークホルダー)との繋がりを強固にしていき、そのような方々との深い協力関係を築くことが大切です。これが「共創力」になります。

まずは、顧客との対話を深め、忌憚のない意見を頂き、顧客の意向を商品やサービスに反映して、それらを磨いていくことが重要です。良くしていく努力によって顧客に評価され、さらに信頼されることによって、商品価格の値上げに同意いただいたり、競合他社と秤にかけられ値切られたりするリスク回避や、あらたな競合を押さえることが有効になってくるのです。

そして、営業やマーケティング部門だけでなく、購買、サービス、財務や広報・IR、CSR部門もそれぞれ取引先や金融機関、株主、地域社会などのステークホルダーと独自に対話を深めていくことで全ステークホルダーとの関係をより共創的に高めていくことができます。

対話を通じて、それぞれのステークホルダーの要望や課題を聞き、お互いにとっての好ましい理想を追求することで、各ステークホルダーはますます智恵や労力を注いでくれる重要なパートナーとなっていくことでしょう。

 3.革新力~今までにない新しい価値や資産を生み出す力

次に、協働する組織が、共創力を高め、各担当分野でステークホルダーとの対話を深めることで、共創活動によって生み出した成功体験を、さらに内部組織に還流させ共有の財産としていくというステージがあります。

これらにより別次元の新しい価値、つまり新商品や新規事業、会社の新しい在り方を生み出していくことが可能となります。これが「革新力」になります。

例えば、各ステークホルダーの要望や、期待を踏まえ、在庫や廃棄にロスが起こらない商品設計を行い、生産体制を築いたとします。そうすると価格競争力を保持し、財務体質の強化だけでなく、環境負荷をも減らすことができ、会社の総合力を高め、価値を高めることができます。これが組織をあげての「革新力」といえるでしょう。

多様で複雑な、多くのものとつながっている現代の企業活動においては、今まで以上に組織だった革新力が求められているといっても過言ではありません。

 協働力、共創力、革新力を持った組織をつくるための人材育成

従業員が同じ目的、目標や価値創造において一丸となり、ステークホルダーとの共創関係を構築し、さらにこれらの体験を共有して、組織全体で新しい価値を生み出し、事業を革新していくためには、詰まるところそれができる人材を育成していくということになります。

そのためには、協働力、共創力、革新力といった普遍的なビジネススキルが、組織内において理念体系等、独自の言葉としてどのように整理され、定義され、教育され、スキルを高めることが評価されているかが重要です。

なぜなら、能力向上が評価されていないと、従業員が心から会社の求める方向にスキルアップしようという気にならないからです。

もし現状、3つの汎用的スキルが自社の言葉として厳密に定義され、運用されていないということであれば、すでにその能力を保有していると思われる人材にあたってみるということになります。つまり、基本的な3つのスキルを、高度に保有し使いこなし、仕事上の成功体験を次々に生み出している、そういった人材です。

このような人材が、おそらく会社にとっては理想のあるべき人材であり、彼の成功体験を創出するメカニズムを解明することによって、能力を可視化し、言語化していくことが可能となります。

そのうえで、定義された能力を向上させることができるように、人材育成中心に人材マネジメントを組み立てて行けば、協働力、共創力、革新力の不足によって、思うように組織の力が発揮できないといった課題を解決することができます。

これらを、臨機応変に都度取り組むのではなく、人事制度に落とし込むことによって、サステナブルなルーティンとして組織の革新が実現でき、人的資本の価値向上が可能となるのです。

このためにまず必要なのが、何があっても動かさない人事の軸と言えるでしょう。

人事制度の設計・再構築のポイント1~人事の軸を決める
人事制度の設計・再構築のポイント2~あるべき人材像を定義する重要性
人事制度の設計・再構築のポイント3~あるべき人材像の探求と能力定義の方法
人事制度の設計・再構築のポイント4~あるべき人材の能力階層化の方法

 
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