DX担当になった時、DX開始時の進め方のポイント
あらゆる企業に共通の組織の課題
人事制度の設計・再構築のポイント
1 人事の軸を決める
2 あるべき人材像明確化の重要性
3 あるべき人材像の探求と能力定義の方法
4 あるべき人材の能力階層化の方法
心理学(交流分析)の活用によるコミュニケーション力の向上方法
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人事制度の設計・再構築のポイント3~あるべき人材像の探求と能力定義の方法

 あるべき人材像の探求方法の例

ここでは、
人事制度の設計・再構築のポイント2~あるべき人材像明確化の重要性
で紹介した、あるべき人材像を明らかにするための具体的な進め方の例を挙げて見ましょう。

(イメージしやすくするために、ごく一般的な例文にしています。)

ここでは、次のような内容の理念系を持つ部品メーカーがあったと想定します。「お客様に寄り添い、常に最高品質の製品を提供する。新しい技術により、ものづくりの革新を怠らず、市場を創造し、お客様はもとより、その先の人類の発展に貢献する。会社組織はそのための基盤であり、絆を一層強くするため従業員を大切にし、育成する。また個々の従業員は仕事を成長の機会としてとらえ自立、自走する人材となる。」

これをあるべき人材像に展開すると、例えば、次のようになります。

「顧客に対して日頃から良好なリレーションを保つとともに、常に誠実に顧客の要望を傾注し、直接の顧客である自身のカウンターパートの課題や、その会社が持つ問題を理解し、何ができてなにができないかを見極めつつ、会社の機能をフル動員して、顧客満足をもたらす最適なソリューションを提供する。しかしながら、そこで満足することなくさらに、問題を掘り下げ、課題はないかをヒアリングし製品の品質を高める不断の努力を行う。そこで獲た知見をもとに、さらに社会や経済のインパクトがより大きな分野を常に探索し、新分野を開拓する。このために既存技術の応用や、新技術の取り込みに余念がない。仲間を大切にして、チームワークを高めるとともに、部下の成長を願い、誠心誠意、育成指導する。また、各従業員は仕事を経済的手段としてのみとらえるのではなく、自身の成長の機会としてとらえることで、業務に主体的に取り組む意味を見出し、自立、自走する人材となる。」

このようにあるべき人材像という観点から、言語化していくと、だんだんとわが社らしい人材の姿が見えてきます。次に、わが社ならではの人材の能力を定義し、わが社の人材の特長を明らかにしていきます。

 あるべき人材の能力定義1~演繹的(理念的)アプローチ

能力要素の抽出

あるべき人材が保有し、あるいは獲得すべき能力の定義を行うにはどうすればよいのでしょうか?

先述のケースでいうと、まずは具体的なイメージが湧きやすいように言語化した人材像を、能力や資質ベースに置き換えてみるということです。

主体性、誠実さ、傾聴力、情況把握力、探求力、問題発見力、概念化力、統合力、創造力、計画力、チャレンジ力、包摂力、共感力、思いやり・・・といったように、思いつく言葉としてまず明記していきます。

そうすると言葉は違っていても能力的には同じ意味だとか、似たような言葉でも明らかに意味が違うという状況が発生します。このとき作業チームのメンバーの認識が統一できるように議論を繰り返すことが重要です。

能力要素の構造化

しかし、あまり分解しすぎると、果てしなく細かくなり収拾がつかなくなってくるのである段階で、大くくりにしていく必要があります。例えば、以下のように3つぐらいの抽象度の高い言葉を設定し(大概念)、より詳細な能力を表す言葉(小概念)を紐づけていくと構造化ができます。

●協働力:組織内で発揮される能力として、主体的にチームの連携性、連帯感を高め組織を活性化し、次世代人材を育成する。従業員は自身の成長により、協働に資するスキルを高め自走する人材となり、全体に対しての自分の役割を見出す。

⇒主体性、包摂力、共感力、思いやり、チャレンジ力、学習力、自走力

●共創力:外部のステークホルダーと連携し、既存の商品、サービスを磨き常に価値を高め共存共栄を実現する。

⇒傾聴力、情況把握力、探求力、課題発見力、連携力、創造力

●革新力:内外の経験を転用、応用し、様々な主体者を繋げ新しい価値を創出する。

⇒問題発見力、概念化力、発想力、統合力、創造力

いったんこのように概念を、大概念、小概念の大小2段階に分けて構造化すると、全体が整理され人材の評価項目にも落とし込むことが可能となります。

大概念を用いると短い言葉で、当社におけるあるべき人材を次のようにシンプルに表現することもできるようになります。「顧客やステークホルダーの声を聞きつつ、ともに価値を高める共創力、それを活かした革新力。その基盤となる組織を活性化させる協働力を発揮する人材」といったことになります。

ただ、能力要素はゆくゆく組織内への浸透を意識し、当初はできるだけ社内ですでに使われている固有の言葉を活用したほうが良いでしょう。対外的な目も意識すると、カッコ良い言葉でまとめたいところですが、人材育成に使われなければ意味がないので、使い古されている言葉のほうが、なじみがあってかえって現場に浸透していくことになります。

 あるべき人材の能力定義2~帰納的(経験的)アプローチ

先の演繹的(理念的)アプローチでは、理念体系をひも解き、あるべき人材の姿から必要な能力項目の仮説を抽出しました。次にこれをもとに、現場へのインタビューを実施します。こちらは端的に言うと、成功体験の分析になります。成功体験を持っている人が必要な能力を持っていて、結果を出しているはずであるという考えによります。つまり、これが先ほどの能力要素とどれだけ整合するかを見ていきます。

具体的な方法としてはハイパフォーマーのインタビューによる、能力要素の抽出ということになります。

インタビュー対象者は、同一の基準で評価するグループの中の、エース人材ということになります。エース人材の活動内容や成功体験を聞きだし、それがどのような資質や能力によってもたらされているのかを明らかにしていきます。

例えば、エース人材が、顧客との共創活動によって、ヒット商品を生み出すことができていたとすれば、それはなぜ可能となったのか? 話を聞くだけでなく、業界動向を良く把握していて先回りして提案できていた、部品にとどまらずエンドユーザーに提供する段階での最終プロダクトの仕様に対する理解が深かった、現場にもよく足を運んだ、あるいは自身のカウンターパートのその上の階層を巻き込むことがうまかったとか、社内の他セクションとのリレーションが良かった・・・等々、いろいろ要因が考えられます。

このとき、当人の職人芸ではなく、再現性のある方法での成功体験を認識していくことが重要です。

この成功体験がどのような能力要素によってもたらされたのかを先述の演繹的アプローチと照合し、あるべき人材として成功体験を創出しつづけるための能力要素を確定していくのです。

さらに、これをトップや役員ヒアリングを行いつつコンセンサスをとりながら、あるべき人材の能力としてどのようなものが妥当なのかを確認していきます。

 能力の階層化が人事システムの核心

あるべき人材の能力要素が確定したら、最後にそれぞれの能力の階層化を行います。これはつまり最上位の能力に到達するために、どのようなステップがあるのかを可視化することになります。それによって能力の階層化は、評価の基準となるだけでなく、次のキャリアへのステップアップのための獲得能力の目標ともなります。

つまり、能力の階層化がドライバーとなって人事機能が精緻に動かせるようになるため、人事システムの核心はここにあるとも言えるでしょう。

それでは次に、いよいよ能力の階層化の方法について考えてみます。

人事制度の設計・再構築のポイント4~あるべき人材の能力階層化の方法
 
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